2016年6月29日水曜日

割子そばと釜揚げそば

出雲そばの食べ方には、冷たい「割子そば」と温かい「釜揚げそば」があり、どちらもそばつゆをかけていただきます。

「割子そば」
出雲そばと聞いて、丸く重なった器を想像する方も多いのではないでしょうか?
江戸時代、出雲地方の松江では野外でそばを食べるために、そばを弁当のような重箱に入れていました。この地方では当時重箱のことを「割子」と呼んでおり、形も四角いものが多かったといわれています。
しかし、四角形だと隅が洗いにくく、衛生上良くないことから、今の丸い形になったそうです。
そして、食べる直前に器の中にそばつゆを直接かけて食べていました。その当時の形式が今に引き継がれています。
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「釜揚げそば」
全国から神様が一堂に会する10月、出雲大社では「神在祭」が執り行われます。昔はこのお祭りの際に屋台で新そばを、温かい釜揚げそばで振舞ったといわれています。
そばは茹でた後に水洗いしますが、当時屋台で出されていたそばはその都度洗うことができず、釜や鍋から茹でたそばを直接器に盛り、とろみのあるそば湯を入れ、つゆや薬味をかけて食べていたようです。
そのスタイルが今に残り、割子そばと並んで出雲そばの代表的な食べ方となりました。
割子同様、自分でつゆを入れて味を調節できるのが特徴で、そばの栄養が溶け出したそば湯は栄養価が高いといわれています。
諸説あるそうですが、「割子そば」は松江、「釜揚げそば」は出雲が発祥といわれています。

出雲そばとは

出雲地方の食文化の一つである出雲そば。その最大の特徴は、従来のそばと比較して黒っぽいそばとその食べ方にあります。
通常そば粉を作るときは、殻を取ったそばの実を製粉します。殻を取れば色は白くなっていきます。(江戸そばなどは、殻を取ったそばの実を製粉します。また、とったそば殻は、「そば殻枕」の材料として利用されます。)

出雲そばは、使用するそばの実の部位は選別せず、殻(黒い)のついたそばの実をそのまま製粉します。
そのため、色は黒っぽいですが、香り高く、風味と独特の食感のあるそばができあがります。